大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

津家庭裁判所伊勢支部 昭和38年(家)380号 審判

本籍 三重県 住所 大阪市

申立人 金利良こと山村利良(仮名)

主文

本籍三重県鳥羽市○○町五九番地の二筆頭者川村良太郎の原戸籍中、妹利良の戸籍を回復し、その回復した戸籍の身分事項欄中金正守との婚姻事項の記載を消除することを許可する。

理由

本件申立の要旨は、申立人は申立外朝鮮慶尚南道金海郡○○邑○○里三二六番地金正守と婚姻することになり、昭和二四年七月二一日同人との婚姻届を青森市長に提出し、受理された。それで申立人は、その従前の戸籍である三重県鳥羽市○○町五九番地の二筆頭者山村良太郎の戸籍から除籍されたが、最近において、右金正守の戸籍謄本を取寄せた結果、同人には当時既に李宝祚という正式な妻のあることが判明した。そうすると、申立人と金正守との婚姻は重婚となり、当然無効であるから、申立人の婚姻前の戸籍を回復することの許可の審判を求めるというのである。

そこで按ずるところ、本件記録に添付された申立書、金正守の戸籍謄本、山村良太郎の原戸籍の謄本を綜合すると、前記申立要旨に符合する事実が認められる。そうして、婚姻の成立要件は、法例第三条第一項の規定により各当事者についてその本国法によるべきであるところ、右婚姻届出当時における朝鮮の慣習によれば、重婚は当然無努であるので、本件婚姻が無効であることは明らかである。

よつて、戸籍法第二四条により主文のとおり審判する。

(家事審判官 浜田盛十)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例